「幸せ」と聞くと、心の中の感覚や個人の体験をイメージする方が多いでしょう。しかし、実は世界中で「人々がどのくらい幸せを感じているのか」を数値化しようとする調査が行われています。それが「幸福度調査」です。
本記事では、代表的な国際的な調査の結果を紹介しながら、数字が示す「幸せの形」を考えていきます。
世界幸福度ランキングとは?
毎年発表される「世界幸福度ランキング(World Happiness Report)」は、国連が関与する研究チームによって作成されています。調査対象は150カ国以上にのぼり、人々の生活満足度や社会的な要因を数値化して評価しています[1]。
ランキングでは次のような要素が考慮されます:
- 一人あたりのGDP(生活の豊かさの指標)
- 健康寿命(長く健康に生きられるか)
- 社会的サポート(困ったときに頼れる人がいるか)
- 人生の自由度(選択の自由)
- 寛容さ(寄付やボランティアの傾向)
- 腐敗の少なさ(政治や経済に対する信頼)
北欧諸国が上位に並ぶ理由
調査では、フィンランド、デンマーク、アイスランドなど北欧諸国が常に上位に位置しています。特徴としては、福祉制度の充実や教育の平等性、社会的な信頼の高さがあげられます。人々が「困ったときは助けてもらえる」と信じられる環境が、安心感と幸福度につながっているのです。
日本の幸福度は?
日本は先進国でありながら、幸福度ランキングでは常に20〜50位台にとどまっています。理由としては:
- 長時間労働による余暇の少なさ
- 社会的サポートの利用度合いが低め
- 自己肯定感が低い傾向
一方で、「治安の良さ」「医療の充実」といった要因では高評価を得ています。つまり、日本の幸福度は「安心できるけれど満たされにくい」という特徴を持っているのです。
お金と幸せの関係
幸福度調査では「お金はどこまで幸せに影響するのか」という問いも重要です。プリンストン大学の研究によれば、収入が一定額に達するまでは生活の安定につながり幸福度が高まる傾向が見られました。しかし、その水準を超えると、収入が増えても幸福感は大きく変わらないと報告されています[2]。
つまり、「必要な生活ができるだけの経済的安定」は幸せの条件の一つですが、過度にお金を追い求めても幸せの上限は頭打ちになる可能性があるのです。
幸福度の数字と私たちの生活
幸福度調査の結果は国全体の傾向を示すものですが、個人にそのまま当てはめられるわけではありません。それでも、「社会的つながり」「健康」「安心感」といった指標は、私たちの生活の中でも大切な要素であることを示しています。
日常に取り入れられるヒント
- 困ったときに頼れる人間関係を意識的に築く
- 収入や物の豊かさよりも、時間の使い方や心の余裕を大切にする
- 感謝や信頼を言葉にして伝える
書き出しワーク:あなたの幸福度を測ってみる
幸福度調査をヒントに、自分自身の幸せを数値化してみましょう。
- 困ったときに頼れる人はいますか?(0〜10点)
- 自由に使える時間に満足していますか?(0〜10点)
- 日常生活に感謝できることはありますか?(0〜10点)
合計点を出したら、その数値を「より高めるための工夫」を考えてみてください。数字にすることで、自分の課題や強みが見えてきます。
まとめ
幸福度調査は、幸せを「社会的な視点」から考える手がかりになります。お金や制度といった外的要因も大切ですが、それ以上に「信頼できる人がいること」「自由に選べること」「小さな感謝を見つけられること」が、日々の幸せに影響しているのです。数字を参考にしながら、あなた自身の「幸せの指標」を探してみてください。
参照(一般情報)
- World Happiness Report 2024.
https://worldhappiness.report/ - Kahneman, D., & Deaton, A. (2010). “High income improves evaluation of life but not emotional well-being.” Proceedings of the National Academy of Sciences.
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1011492107
※本記事は調査や研究の紹介を目的とした一般情報です。効果効能を保証するものではありません。